最初に言っておこう。私はいわゆる声優という職業の女性に全く興味はないし、量産される萌アニメには辟易している。
今回の騒動の渦中にいる声優陣の代表作の「けいおん」というアニメも、数話見ただけで切った。私にはただの時間の無駄に思われたからである。
今回の騒動を大まかにまとめてみる。
・アニメのキャラクターに声を当てる声優という職業についている女性を、事務所側がアイドル声優と銘打って売り出す。
・今流行りのAKB48のファンのようなアイドルファン+アニメファン層がファンにつく。
・今回、ある個人ブログが、あるアイドル声優(2人)が、各々男性と交際している、同居しているという記事をパパラッチしたと思われる写真と共に公開する。
早い話が人気アイドルに熱愛発覚の声優版である。
昔からアイドルの熱狂的なファンというものは存在して、熱愛報道などがなされると往々にして傍から見ると過剰な反応をするものだ。
アイドルは恋愛禁止というものは、傍からみるとまさに金権社会のいやらしさのにじみ出た、人間性のかけらもない暴言のように受け止められることも多い。
しかし、内情をある程度探っていくうちに、今回の騒動で熱狂的なファンが負った心の傷的なものも見えてきたのである。
改めて、いわゆるオタク向けの商売のえげつなさを身に染みて感じさせた出来事でもあった。
「熱狂的な」と限定するのには訳がある。年頃の女性が恋愛をするのは全くおかしいことではないと私は思っている。
ファンの中には私と同じような考えを持っているものもいて、アイドルとしてのファンと、声優の技量や人間性のファンをきちんと線引きしている人もいる。
そういったファン層にとっては今回の出来事は何ら今後のファン活動に影響をあたえるものでもないし、ショックも受けなかっただろう。
今回の騒動がここまで大きくなったのは、某所独特のいわゆるネタや煽りで楽しんでいるものが盛り上げているというのもあろうが、やはり本当にアイドル声優の熱狂的なファンで傷ついているものの叫びがある。
今回の騒動に関しては、一般人の方にとっては何のことかよくわからないだろうし、説明しても共感は得られないだろう。
わかりやすく言えば霊感商法に引っかかった人々が、報道などで真実を知ったような感情であるといったほうがわかりやすいかもしれない。
そして、いわゆるオタク向けの商売というものはそういった悪徳商法や宗教に近いものがあると私は常日頃から思っている。
しかし、私自身がアニメやそういったコンテンツが好きであるということと、無論、コンテンツ自体を批判するつもりや、それを楽しんでいる人々に目を覚ましなさいなどと押し付け親切をするつもりもない。
先述したように、きちんと一線を引いて、それでもコンテンツが好きであったり、中の人が好みであったりするファンではなく、線引きが出来ずに熱狂的にのめり込んでしまうファンを食い物にする商売、私はこれを問題視しているのだ。
例えば、今回騒動になった声優は、ラジオ番組等で「彼氏はいない」だとか「リア充(オタクとは真逆の存在、主に異性との交際している男女のことを示す)爆発しろ」などの発言をしていたそうだ。
つまり、分かり良く言えばオタクに媚びを売っていたのである。それだけで信じてしまうのは、なんというかピュアすぎると思わないでもないが、しかし、それでも人の心を弄んで銭を儲けた行為そのものは非難されてしかるべきことである。
ちょうど、現在NHKで放送中の「へうげもの」でも似たようなシーンがある。
北政所に一目惚れした徳川家康を見ぬいた古田織部(なんと主人公)が、それをネタに金子の相談を持ちかけるという物。
こんなゲスい人間が主人公であるのは、原作+アニメのファンとしてなんとも情けないことではあるが、コミカルに人間を描写していて、むしろ非常に人間臭くて面白い。
この古田織部は聞くところの話によると、後に権力者となった徳川家康の奥方にこのことを知られて逆鱗に触れ、処刑されたとのこと。
史実では豊臣方に内通していたとの疑いをかけられて処刑とあるので、フィクションなのかどうなのかはわからない。
そののちに古田織部が残した作品は徹底的に破壊されるなど、どうしてそこまで徳川に嫌われたのかよくわからないが、それに対する一つの仮説だとしても、あまり齟齬は感じない。むしろ非常にしっくり来る。
人の心を弄ぶというのは、そういったことなのだ。時の権力者にそれを行えば、一族もろとも抹消されるような、重い罪である。
あまり、恋愛経験のないような人間のピュアさを利用して、それで銭を稼ぐというのは、正直傍から見ていて非常に不快である。成功者への妬みなど、そういった感情抜きにしてだ。
法律に抵触しないとかそういった次元の話ではないのである。老人を騙して銭をかすめ取るオレオレ詐欺に近いものがあると私は思っている。
悲しいことではあるが、こういったことは法で規制をしてしまわない限り、いくら口を酸っぱくして皆に知らせたとしても、今でも悪徳商法や新興宗教に引っかかる人がいるように、なくならないだろう。
今回の件では、いくら有名人だからといってプライバシーを誰でも見れるネット上に公開したブログ主の行為はとても擁護できるものではないが、それ以上に人の心に漬け込んだ商売を展開してきた関係者は猛省すべきである。
後、アイドルだからといって一個人のプライベートまで拘束してしまうのは人身売買と何らかわりはない。ファンは一線を引いて楽しむべきである。
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